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マタニティーブルーと産後うつ病

うつ病になる心理的きっかけとは

うつ病が起こる際に、なんらかのきっかけがあることは多いものです。
誘因となる状況は、重荷状況（大きな責務を背負わされた状況）と荷下ろし状況（責任ある用事を終えた後のほっとした状況）として把握されます。重荷に引きつづき絶望が、空虚に引きつづき虚脱が現われるのです。

うつ病を招く心理的きっかけ
仕事	退職、就職、転職、転勤、出向、左遷、昇格、昇進試験、病気による欠勤と復職、研修、失態、大活躍、過労、不景気
家庭	家族間の葛藤、不和、別居、離婚、死別、子どもの自立・結婚、経済的困窮、引っ越し、新築、災害などでの家屋や財産などの損失
健康	妊娠、流産、出産、更年期、発病、服薬、事故

誘因の多くは、職場や家庭での本人にとって重要な人との愛情関係の危機や、その人との離別といった心理的な出来事です。昇格や子どもの結婚など周囲の人々からみればうらやましくても、本人にとっては負担や虚脱になるものもあります。

社長に就任したものの、その地位の負担からうつ病になったビジネスマンがいました。派閥抗争が勃発して、彼は退職せざるをえませんでした。また娘の結婚をきっかけとして、さびしさからうつ病になり、娘が離婚をして実家にもどったら病気が回復した母親もいました。物質面での喪失や経済的な危機といったものは、意外に多くありません。

男性では、職場での異動や評価、同僚との感情的危機が中心です。一方、女性では夫婦の不和、子どもの自立や行動上の問題、引っ越しなどがあげられます。
転居でうつ病となるのは、主として女性です。女性にとって住空間は自分の一部になっており、転居が危機的状況となります。引っ越しは住みなれた住宅や環境、知りあいと別れて、新しい状況と同化する過程であり、心身の負担を引きおこすのです。

一方、家の新築や購入でうつ病になるのは男性です。男性にとって、これは決意や責任、借金の返済などの重荷を課せられた状況を意味します。入居後にうつ状態となる場合もあります。つまり住まいを建てる状況は、負担→荷下ろしの枠組みでとらえることができるのです。