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メンタルヘルスにおける上司(同僚)の役割
治療から職場復帰
職場不適応対策の実際
上司のためのリスニングスキル
なぜ、早期発見、早期治療ができにくいのでしょう
心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針
医療に結びつけるプロセス
受診後の対応:7日以内に行うこと
受診後の対応:主治医との面接
職場復帰を成功させるために:復帰直前
職場復帰を成功させるために:いよいよ職場復帰
職場復帰を成功させるために:復帰後半年〜1年
職場復帰を成功させるために:復帰後1年〜3年
職場復帰を成功させるために:復帰後3年以降
事業場内専門スタッフとの接し方
職場復帰を成功させるために:復帰後半年〜1年
◆上司の舵取りが重要
時間外労働はさせないのが無難
上司が職場復帰した部下に「無理をするな」というのは、意味のない指導です。大切なことは、管理者が部下の仕事のコントロールをすることです。再発の多くは、職場復帰直後のがんばり過ぎ(過剰適応)によって起こります。
復職後半年は、時間外労働の制限をしましょう。本人の条件もあるでしょうが、残業はさせないほうが望ましいのです。
適度に責任を持たせる
仕事を任せる上で、単純な作業ばかりをさせるのはいけません。責任を軽くし過ぎて単純労働ばかりをさせるのは、自尊心を傷つけてしまい逆効果になることもあります。
いつまで、どこまでの判断は、臨機応変に
いつまで、どのような制限を加えるかについては、医師と相談するのが望ましいといえます。
ただし、勤務時間については1つの目安があります。それは、厚生労働省が2001年に発表した「過重労働による健康障害を防ぐために」という通達における過労死の認定基準です。時間外労働が月45時間未満ならば、過労死のリスクはほとんどないと記されています。初回の職場復帰を成功させるため、この月当たり45時間未満という基準を準用してみましょう。復帰後の半年以降でも、残業はゼロから45時間未満にとどめるのが無難です。
人を育てる発想を持とう
1.復帰直後からフルパワーを求めない
休養はこころのエネルギーの充電そのものとなりますが、復帰直後からフルパワーを発揮すればもとの木阿弥です。復帰6ヵ月から1年までは発病前の6〜7割のパフォーマンスだと割り切ってください。
2.育成的な発想で
復帰した社員は、しばらくはパフォーマンスが低い状態が続きます。しかし、少々辛抱すればやがてパワーを取り戻していくのですから、育成的な発想をもつようにしましょう。こころの病を患った社員に「ダメ社員、迷惑者」というレッテルを貼ってしまい、「こころの強い社員だけで仕事をしたい」と考えがちですが、こころの強い弱いで病気になるのではありません。こう考えている管理者は、人的資源管理が失格です。
これからの管理者には、メンタルヘルス不調の社員がいることを前提とした、割り切ったマネジメントが求められます。
部下の仕事ぶりに目を向けよう
メンタルヘルス不調の多くは、慢性の疲労を土台にして、各種の仕事面での出来事が引き金となって起こるものです。もちろん引き金には、家庭生活にかかわるストレスもあるでしょう。メンタルヘルス不調は各種の事故や出来事、対人関係のもつれなどがなくても、デイリーハッスルと呼ばれる日々のいらいらの積み重ねによっても起こります。
職場での対人関係のもつれは、あくまでも1つのきっかけに過ぎず、これが原因であるとは限りません。メンタルヘルス不調になった結果、人間関係が上手くいかなくなったという可能性もあります。部下のこころの具合にこだわって、妙な気遣いをしたり探りを入れたりする前に、本人の仕事ぶりに目を向けてみましょう。
ミスが増えたり、作業能率が落ちるという再発の兆しが見えたら迷わず仕事に制限を加えて、面談をするようにしましょう。
最大のポイント――通院の継続
復帰した部下がきちんと薬を飲み続けているかどうかがポイントです。
症状がすべて消えたことを“寛解”といいますが、寛解してから2ヵ月以内に症状が再び起こり、もとの状態にもどってしまった場合は“再燃”、2ヵ月以降のそれを“再発”といいます。まずは、再燃を防ぐことが重要で、その後も2〜5年は薬を飲み続けていくというのが定説です。
「薬を飲んでいるのは治っていない」という考えは間違いで、高血圧や糖尿病、花粉症などで、継続的に薬を飲むのと同じだと考えてください。
再燃・再発を防ぐためには、上司の口から「今後もきちんと通院することが、君の大事な仕事の1つだ」と伝えておくのがよいでしょう。
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