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ストレスと健康〈ストレス関連疾患〉

ストレスがもとになって起こる病気はいろいろあります。むしろすべての病気はストレスと多少なりとも関係があると言っても言い過ぎではないかもしれません。身体的ストレスは過労や体調の変化といった形で影響してきますし、精神的ストレスは昔より「病は気から」と言われるように深く関わっていると考えられています。
また、こころの病気もストレスを契機にして発症することもあります。これらのうち、ストレスと密接な関係があることが知られている健康障害を一括して特に「ストレス関連疾患」と呼ぶことがあります。
ストレス関連疾患には以下にあげたものが含まれてきます。

(1)心身症群 胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、過敏性大腸、神経性嘔吐、本態性高血圧、(神経性)狭心症、過換気症候群、気管支喘息、甲状腺機能亢進症、神経性食思不振症、片頭痛、筋緊張性頭痛、書痙、痙性斜頸、関節リウマチ、腰痛症、頸肩腕症候群、原発性緑内障、メニエール症候群、円形脱毛症、インポテンス、更年期障害
(2)神経症群 心臓神経症、胃腸神経症、膀胱神経症、神経症、不眠症、自律神経失調症
(3)うつ状態 神経症的抑うつ状態、反応性うつ病
(4)その他、神経性〇〇と診断されたもの

この他にも独立した病気としてではなく主に精神的な病的状態と言える職場不適応や燃えつき症候群などといったものもあります。ここでは特にストレスで問題となるいくつかの病気や状態について紹介します。

(1)心身症 心身症はよく精神病と混同され、精神に異常をきたした病気と勘違いされがちですが、正しくは、「身体症状を主とするが、その診断や治療に心理的因子についての配慮が、とくに重要な意味をもつ病態」と定義され、こころに何らかの要因があって、からだの症状が前面に現れた病気に付けられた総称で、ひとつの独立した病名ではありません。これらの中には先にあげた病気の他に糖尿病や夜尿症、アトピー性皮膚炎、眼精疲労、月経困難症など多くの病気が関係してきます。心身症にかかっている患者はストレスや心理的要因をはっきりと自覚していないことも多く、単に身体的症状のみを気にして病院を訪れることもあります。
(2)神経症 いわゆるノイローゼのことですが、その主たる症状である不眠や不安感、抑うつ感、いらつき、疲労脱力感といった自覚症状はだれでも多少なりとも感じるものです。神経症は、これらが過剰に現れ、仕事や社会生活など通常の生活に問題が生じるようになったものを言います。例えば、心臓の鼓動が普通より早く感じられ、いつ心臓が止まってしまうかという不安をぬぐい去れず、そのことばかりが頭から離れないために日常生活に支障をきたしてしまうものを特に心臓神経症(不安神経症)と呼びます。最近では、急に不安が高まって、人混みの中に出たり、家から出ることさえも恐ろしくなってしまうパニック症候群が話題となっています。神経症の人は身体的に異常がないために、「仮病」とか「根性がない」などと誤解される傾向があり、そのつらさを理解してもらえないためにますます悪化していくこともあります。
(3)抑うつ状態 抑うつ状態では朝より気分がすぐれず、何事にも意欲がなくなり、物事を悲観的にばかり考え、判断や決断ができにくくなる、疲れていても熟睡できない、食欲などがない、といった症状が現れます。このような症状を自覚すると、やがて「自分はダメだ」「生きている望みもない」などと考えてしまいます。このような人は周りから「怠けている」とか「努力が足りない」などと思われて、「しっかりしろ」とか「もっとがんばれ」などと励まされて、そのことがかえって重荷となってますますうつうつとしてしまうことが多々あります。むしろ十分な休養や療養が必要とされる状態と考えられます。
(4)燃えつき症候群 全速力で突っ走って、心的エネルギーを使いはたして灰のようにまっ白に燃えつきて無気力になってしまう。このような状態を燃えつき症候群と呼んでいます。仕事に打ち込んでも期待する成果が得られず、失望してしまう場合や、壁にぶつかっても大き過ぎる目標に押しつぶされてしまう場合に起こります。有能で上昇志向の強い人や仕事中毒の人、頑固で周りを無視して突っ走ってしまう人、世渡りがヘタな人などは要注意です。このような人は慢性的にエネルギーを使い過ぎた結果、極度の心身の疲労と感情の枯渇を起こし、卑下、仕事の嫌悪、思いやりの喪失などが見られ、不安やイライラ、悲哀感、自尊心の低下といった情緒的ストレスや上気道感染、息切れ、胃腸障害、頭痛、睡眠障害といった心身症的症状、夫婦間や家族間の問題などが生じてきます。
(5)職場不適応 職場や心身の病気、家庭の問題などが元となり、職場にうまく適応できなくなり、事故を頻繁に起こしたり、出社拒否となり無断欠勤を重ねていくような状態を職場不適応と呼びます。職場側の要因と個人側の要因とが合わなくなることが原因で職場への適応が困難となりますが、しばしば抑うつ症状や心身症の症状を生じることがあります。職場不適応には、まじめ人間タイプとドロップアウトタイプの2つの型があります。
  ・まじめ人間タイプ
責任感が強くまじめで几帳面ですが融通性に欠け、人付き合いはヘタ、趣味といえば仕事、というような人が、中間管理職に昇進した時などに起こります。リーターシップが発揮できず、上と下の板ばさみになったり、実績が上がらない、同僚が先を越して昇進したりすると、自分の立場や将来性が不安になり、自己嫌悪や劣等感により出社することが怖くなります。

・ドロップアウトタイプ
お人好しで小心で消極的、自主性や社会性が不十分の人や、気ままで意志が弱いが自尊心は強く協調性に乏しく挫折体験が少ない人などに多く見られます。職務能力、体力、職場の人間関係などで同僚より劣る時に、自分の職務を果たせなくなりイライラしたり孤立感を募らせると、生活リズムが変動したり軽微な体の変調を契機として欠勤するようになります。出勤しようという気持ちは強く、夜になると明日からは出勤しようと心に誓いますが朝になると出勤することがつらくなったり、長期欠勤しても内閉的、ヤケクソ的な態度を取るなどの特徴があります。
(6)精神病との違い 精神病もストレスによる心身症なども心のケアが必要となりますが、精神病は本質的に心そのものの病気で、ストレスのみで起こるわけではありません。また、心身症や神経症が悪化して精神分裂病などになることもありません。これらはまったく異なった病気で、別のものと考えて対処する必要があります。精神病では病院での治療が絶対必要ですが、ストレス関連疾患は周りの対応やストレス軽減の対処などが重要となってきます。


よいストレス状態

◆ストレスがなさすぎても問題

ストレスの量と生産性の関係を見てみますと、ストレスレベルが高すぎても、低すぎても生産性は落ちるということがわかっています。ですから、人生には適度なストレスが必要と言えます。

◆よいストレス状態にするには

スポーツ心理学の分野の研究で、プレッシャーを受けた選手が最大限の能力を発揮する時の最適なストレスのレベルがあることが知られています。これをピーク・パーフォーマンス・ストレス・レベル(PPSL)と呼んでいます。
つまり、パーフォーマンス(競技能力、成績)がPPSLピーク(頂点)となるストレスのレベルで、いわばテンションが高い状態です。
もし、ストレスがこのレベル以下であれば、たいくつ感や無気力感、競争心の欠如といった状態が見られ、逆にこのレベル以上にストレスが達すると、不安感がつのり、混乱したり自身喪失となったりすると言われています。
このPPSLは、スポーツのみならず、職場や家庭など日常生活においても適応することができます。
管理者を例にとれば、しばしば変更を余儀なくされる高度な仕事の負担や他人に対する責任、複雑で神経を使うようなあらゆる挑戦への対処、長時間にわたる強度な精神の集中などがストレス源の大半であり、ストレス過剰が主要な問題となります。
また、工場のような現場で働く人であれば、仕事に対する不満や自分の本当の能力が認められる機会が乏しいと感じること、自分のペースで自由にできないこと、おきまりの刺激のない労働、長い拘束時間、騒音や汚くほこりだらけで暑いなど不快な職場環境などが重大なストレスになります。
このようなストレス状態をPPSLにうまく持っていくことができれば、精力的で熱意と自信を取り戻して、仕事の結果を完全にコントロールすることができ、何事にもすばやく効果的に反応することが可能となり、創造的かつ上手に問題を解決することができるようになります。また、記憶をたどることや計算することが早く正確になり、注意深く感応しやすくなったとも感じられるようになることでしょう。

必要な心の緩衝剤

ストレスの原因となるストレッサーが存在すればだれでも必ずストレス反応が起こるとは限りません。いわばストレッサーの衝撃をふんわりと和らげてストレス反応を影響ないほどに減少させるクッションや緩衝剤(エアーバッグでもかまいませんが)となるものがあります。この緩衝剤こそが周囲の人々による支えです。この周囲の支えとなる人間関係をソーシャル・サポート・ネットワークと呼びます。
このソーシャル・サポート・ネットワークでは、家族や友人、職場や地域社会といった中での関わりあいが重要となってきます。
このようなネットワークで支えてくれる人には例えば次のような人々が考えられます。

手段的サポートネットワーク
(1) 経済的に困っているとき、頼りになる人
(2) 病気で寝込んだとき、身の回りの世話をしてくれる人
(3) 引っ越ししなければならなくなったとき、手伝ってくれる人
(4) わからないことがあるとよく教えてくれる人
(5) 家事をやってくれたり、手伝ってくれる人

情緒的サポートネットワーク
(1) 会うと心が落ちつき安心できる人   
(2) 気持ちの通じあえる人
(3) つね日頃あなたの気持ちを敏感に察してくれる人  
(4) あなたを日頃から認め評価してくれる人  
(5) あなたを信じて思うようにさせてくれる人
(6) あなたの喜びを自分のことのように喜んでくれる人
(7) 個人的な気持ちや秘密を打ち明けることのできる人
(8) お互いの考えや将来のことなどを話し合うことのできる人

逆の立場も考えてみましょう。それは、このような人々があなたの心の支えとなるばかりでなく、あなたもその人の心のサポーターとなることもあるということです。
つまり、人間はお互いに支え合って生きています。そのことがストレス対処にとっても大事なことなのです。もし、あなたが心の支えとなってあげたいと思うなら、その人の状態について次のことを考えてみるとよいでしょう。
また、この質問は自分が他の人の助けを必要とする状況であるか判断する手がかりともなるでしょう。

(1) 務とストレスの関係
仕事や職務、期待の量が能力に応じて多からず少なからず適当な量だろうか。やろうとしている作業に熟練しているだろうか。周囲との協調関係があるだろうか。
(2) 人間関係(コミュニケーション)
休憩時間をどのように過ごしているだろうか。毎日の体調の変化や作業にムラがないだろうか。就業時間帯などにムラがないだろうか。服装や身だしなみ、表情や声の調子に変化がないだろうか。

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