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うつ病は怖い病気ではありません。うつ病を克服した人は、確実にこころが強くなります。加えて、周囲のこころの不調にも敏感になり、苦しむ方のサポートもできます。その意味でも、こころの不調を克服した方の職場復帰は重要なのです。経験者が職場を強くし、結果的に会社を強くするのです。 |
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回復までにたどる「4つのサイクル」
再発しやすい原因
再発予防の4つのポイント
回復しかけているときの家族の注意点
職場復帰の際の環境調整
職場復帰に伴う主治医(専門医)との連携
再発予防のために
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回復しかけているときの家族の注意点 |
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うつ病がよくなってきたころに思いがけなく自殺してしまう方がいるように、ほぼ回復して社会復帰する際は、想像以上に本人に負担がかかっていることが多いのです。回復期には本人がブレーキとアクセルをうまく使い分けて安全運転ができるように、家族はナビゲート役を務めてください。
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◆社会復帰を焦るときには適切なブレーキも必要となる |
うつ病の方は概して症状が少しでも軽快してくると、早期の社会復帰を望みます。職場の皆に迷惑をかけているという自責感や責任感、あるいは長く休むことで今までの職務を失うのではないかという不安や焦りからのことが多いようです。その一方で、はたして社会復帰がうまくできるのだろうかという不安感の入り混じった焦りもみられます。
しかし、焦りのあまり、早く職場に戻っても勤務に耐えられず再燃することもあるので、余裕をもった計画を立てられるよう家族は協力してください。「まだ仕事に出てもらわなくてもだいじょうぶよ」とか「せっかくのお休みだからもう少しゆっくりしたら」と本人がゆったり構えられるよう、適切なブレーキをかけることも必要となります。
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◆生活リズムを取り戻すことをおっくうがるときはちょっとしたアクセルが必要である |
長い療養では生活も不規則になっていることが多くあります。
回復期ならば生活のリズムを取り戻す、あるいは社会復帰のために体馴らしをしておく必要もあります。おっくうに思ってなかには丸一日、何もしないで過ごしてしまう方もいるので、「ちょっとそこらを散歩してみよう。桜がきれいらしいよ」とか「悪いけれど買い物につきあってくれない」などとうまく誘い出してみるとよいでしょう。最初はしぶしぶでも、やってみると本人は思っていたほどつらくもないことに気づき、自信につながることもあります。ときにはアクセルをふかすことも必要です。
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◆直前になっての計画変更は避ける |
主治医と相談の上で具体的な復職時期のめどを立てていれば、家族はできる限りそれを尊重しましょう。うつ病の方はレールが敷かれていないと不安を感じるので、直前になって本人が立てているプランを変更することは混乱を招くもとにもなり、極力避けるべきです。
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◆役に立っているという実感が持てるような配慮が必要である |
社会復帰を果たしたのに「何もしないでいいですよ、ゆっくりしてくださいよ」などと言われると、自分の存在感や能力を否定されたような気がして力が抜けてしまうものです。家庭や会社でも本人の負担にならない範囲内で、きちんとした役割を提供して、役に立っているという実感をもてるような配慮も必要になります。たとえば職場では「君がいてくれるので、他の者にはわからないことが聞けて助かった」などの評価を忘れないようにしてもらいます。
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◆軽躁状態に気づいたら行動制限の忠告をする |
うつ状態が回復するときに、気分が高揚して軽躁状態になることもあります。また仕事の遅れを取り戻そうとやりすぎてしまうこともあります。本人は本来の調子を取り戻しただけと思っていますが、反動でまたうつ状態になる危険があります。家族は、本人が軽躁状態になっていないか、焦っていないかなど普段の生活との違いを客観的に見守ることが大切です。もし気づいたら、「もう少しゆっくりしたら」、「毎晩、そう遅くまで仕事しなくてもいいんじゃない」など早めに忠告して、必ず主治医にも連絡をとってください。
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◆再発防止のモニターになる |
治りかけに薬を中断すると再発しやすいので、症状が回復したからといって直ちに服薬を中止するなどの医療中断をしないように、家族は気をつけておきます。本人が異常と感じていなくても、ふだんの行動と比較しておかしいと思われることがあれば、早めに受診を勧めましょう。本人には家族というモニターの忠告があればそれに従うように前もって約束しておくとよいでしょう。また再発時にはほとんどの方は「今度はもう治らないのではないか」と思い受診に消極的になってしまいます。受診する決断力を失いがちになり病状が進んでしまうことも多くあります。そのような時は、受診を家族が後押しすることが大切です。
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◆自殺防止に努める |
回復期には、自殺の危険性が高まることも忘れてはなりません。食欲も出てきて、顔色もよく、笑顔も見られるほど元気になってきたら、周囲の方もつい安心してしまいます。本人も仕事に行かなければとの思いがあり、家族も社会復帰を期待します。だが、まだ気分は揺れ動いており、この不安定さがやっかいなのです。本人も「だいじょうぶかな」と思っていたところに、ちょっとした調子の悪い波がきたりします。すると「私はやはりだめか。もう一生治らないのか」とガクンときて絶望におそわれてしまうことになります。
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◆発病時の状況や誘因を話し合 |
うつ病の方のなかには、病気が治るとその時期は特別な状況であったと軽く考え、病気であったことを経験として取り込まない方がいます。そのような場合は再発を繰り返しやすいものです。どのような状況で病気になったのか知っておくことも大事なので、家族でよく分析し、話し合ってみましょう。日ごろのライフスタイルを変えることも再発防止につながるので家族が助言するとよいでしょう。 |
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