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職場不適応状態の特徴
職場不適応者に接するとき
職場不適応の判断
職場不適応と判断するその前に
周囲が気づく「変化」と自分で気づく「変化」
職場不適応の2つのタイプ
職場不適応状態になりやすい状況
SOSのサインをキャッチする
対応のポイント
カウンセリング・マインド |
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カウンセリング・マインド |
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職場の人に何らかのSOSが生じた場合、その適切な対処の筋道を引くことは職場の管理者の重要な役目の1つです。上司・管理者の動きが職場のメンタルヘルスの鍵を握るといってよいでしょう。
どんなに健全な組織でも、年間に3%程度は不適応に陥り離職する人が出るものだといわれています。これは、組織がある1つの目標に向かって動いている以上、やむをえないことかもしれません。そこで不適応に陥る人が現れたとしても、管理者の責任ではありません。組織としての責任は、そうした不適応者に対して、迅速に適切な対応をとるということなのです。
上司・管理者としての対処には、「問題状況の把握」「専門窓口へつなげる」「復職の支援」の3つの柱がありますが、ここでは「問題状況の把握」「専門窓口へつなげる」をご説明します。
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〈1〉問題状況の把握 |
まずは、本人や周囲の人の話を聞き、問題状況の的確な把握をすることが必要です。
そこでいかにこころを開かせ、ありのままの状況を聞き取ることができるかが、適切な対処への第一歩となります。
ここで気をつけなくてはいけないのは、部下にとって、上司は自分を評価する立場であるということです。上司が自分の勤務評価や人事登用、さらに雇用の継続についても生殺与奪の権限を握っているという現実があるのも事実ですから、部下はここで警戒心や不安感を強く持つことも多いものです。こちらにはそのつもりはなくても、上司の一言が思いのほかプレッシャーになり、さらにストレスを加算させてしまうこともあり得るでしょう。「仕事の評価とは関係ない。会社はあなたを守り、しっかり元気に仕事が続けられるようになるために動く」ということをはっきりと伝えることが必要です。
大切なのは「カウンセリング・マインドで接する」ということです。これを実際に行うのは非常に難しいことですが、こういう配慮と姿勢が大切だということを理解し、コミュニケーションに役立てていただければと思います。
ここでどれだけ深い話が聞き出せるかは、日頃の関係、コミュニケーションによって大きく変わってきます。仕事上の関係では、プライベートな世界に立ち入ることは難しいと思いますので、主に管理者として判断するのに必要最低限の客観的状況の把握に努めてください。
特に注意しなければならないのは、プライバシーの問題です。本人から自然に話し出さない限り、必要以上にプライベートなことまで聞き出そうとしない方が賢明です。また、決して勝手な思い込みや決めつけをしたり、自分だけで何とかしてやろうと抱え込まないことです。ある程度はっきりとした問題の存在を確認したら、できるだけ早く専門機関に相談し、つなげることが大切です。
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カウンセリングの基本的技法 |
1 |
傾聴 |
人の話に心を傾け、その話や気持ちを受け入れること。話の途中で指示・忠告したり、原因をたずねたりしないで、まず話の内容を理解し、その人がどのような状況にいて、どういう気持ちをかかえているのかを理解しようという姿勢で話を聴くこと。評価的態度や解釈的態度で接しないこと。 |
2 |
支持 |
その人の話や気持ちを受けとめているということを、相手に分かるようにすること。目を見る、適切なタイミングで相づちを打つなど、共感していることをことばや表情で伝える共感的態度が大切。 |
3 |
繰り
返し |
話のポイントを繰り返して確認すること。相手に繰り返してもらうことで、「自分の言いたいことを、きちんと受け止めてくれている」という気持ちが強まり、自分の考えを確かめたり、自信を持つことができます。 |
4 |
明確化 |
話す人が自分では十分にわかっていない部分をことばで言い表すのを援助すること。「あなたの言っていることは〜ということなのかな」など、話している内容をはっきりさせることで、なぜ話題にしているかという理由を、自分自身で気づく大切なきっかけになります。 |
5 |
質問 |
質問は、傾聴、支持、繰り返し、明確化のために行われなければなりません。
「なぜ〜?」と問いつめるような訊き方は控え、「どのように感じているか・どのように考えているか」と尋ねましょう。質問し答えを得ることで、今まで気づかなかった方向から問題を考えたり、その原因や解決への道を発見できます。 |
6 |
継続 |
1回の面接で上記1〜5まで進むことは容易にいかない場合が多いものです。1回の面接だけで解決しようと思わず、次の面接につなげることが大事です。カウンセリング・マインドで配慮すべきことは、決して行動変容と問題解決を急ぎすぎないことです。 |
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〈2〉専門窓口へつなげる |
ある程度、状況を把握したら、専門の窓口へつなげることが必要です。最も望ましいのは、本人が自分の異常を察知した時に、自発的に専門窓口を訪ねるようになることです。管理者としては、あらかじめ社内外の相談窓口、提携相談機関などを把握し、常日頃から部下に周知させておくことが求められます。
それでも、本人が自発的に動き出すことばかりではないでしょう。そこで促していくのが管理者の務めとなりますが、この際に必要な留意点は次の3点です。
- 病気と断定しない
- 体の不調に注目する
- 早期に対応する
具体的な上司のことばや対応を例に挙げてみましょう。 |
A |
悪い上司 |
「お前、最近おかしいよ。病気なんじゃないか? ちょっと相談室に行ってこい!」 |
B |
よい上司 |
「顔色悪いな、どうした?」
『実は、眠れないんです。それと頭が重いんです。』
「眠れなくて、頭が重いのか。オレはよくわからないけど、もし病気だったら早く治した方がいいから、一度相談室に行ってみてはどうかな?」 |
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Aのケースでは、病気だと決めつけています。Bは、病気だと決めつけておらず、身体症状に対して心配する、という態度で接しています。
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o n ! |
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