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薬物依存症
ある薬物を使用して、快感・爽快感などの精神的効果を強く求めたり、薬物を使用しないことによる不快を避けるために求める“抑えがたい欲求”があり、連続的・周期的に使用せざるを得ない状態になることです。精神依存・身体依存の両方または一方をもっています。
一般的に、
薬物乱用→精神依存→耐性→身体依存
という経過をたどります。
薬物乱用
社会規範に反した薬物の使用のことをいいます。
違法薬物の使用・所持や、処方された薬を決められた量以上服用したり、正当な理由とは違う目的で服用することもこれに含みます。
精神依存
ある薬物を使用した時の快感などの効果が忘れられず、また使用したいという強い欲求が生まれます。薬物の使用を止めたり、量が不足すると激しい欲求が生じ、強い不安をおぼえます。
薬の作用を求めて、あるいは精神的不快を避けるために止められない状態になることをいいます。
耐性
薬物を繰り返し使用し続けているうち、体が薬に慣れて効果が減ってきます。
そして効果を得るために、さらに多量の薬物が必要になる状態のことをいいます。
身体依存
離脱症状と呼ばれるものが出現します。耐性ができてくると、体内にはいつも薬物が存在することになり体もそれに慣れています。
その時に使用を中断したり、量が不足すると体内のバランスが崩れて身体の異常が出現します。
◆症状
さまざまな薬物に共通の症状には以下のようなものがあります。
感情の変化
…恐怖感、不安、抑うつ、躁状態、焦燥感、短気で怒りっぽくなる
意欲の変化
…無気力でだらしがなくなる、無関心、怠惰
社会的変化
…道徳心の低下、人付き合いを避ける、浪費、言葉づかいが乱暴になる、暴力、事故
身体反応
…脈拍や呼吸の増加など交感神経系の興奮状態、統制を失った状態、けいれん
家庭や社会生活に深刻な問題を生じさせ、生活に支障がでてきます。また、大麻や覚せい剤などを手に入れるには、多額のお金が必要になり、犯罪行為に結びつくことにもなります。
覚せい剤依存
覚せい剤には、中枢神経興奮作用があります。使用すると、気分の高揚、疲労を感じない、爽快感などが得られますが、効果が切れてくると激しい憂うつ感、焦燥感や倦怠感が出現します。身体依存は認められませんが、強い精神依存性があります。
また、覚せい剤精神病と呼ばれる、統合失調症に似た症状の幻聴や妄想が現れてくることもあります。使用を止めた後に、ストレスや飲酒により突然覚せい剤を使用していた時のような、幻覚や妄想が出現するフラッシュバック現象がみられることもあります。
有機溶剤依存
シンナーやボンド、トルエンなどには中枢神経抑制作用があり、吸入することにより飲酒時のような酩酊感や、もうろう状態、恍惚感を得られますが、効果が切れると無気力や怠惰、衝動的になったりします。ひどくなると、吸入しなくても幻覚・妄想が出現することがあり、自分が見たい夢や状況を経験したりもします。大脳を変性、萎縮させます。
大麻依存
マリファナやハシッシュなどで、中枢神経抑制作用があります。多幸感、陶酔感を生じ時間・空間感覚が変化します。
睡眠薬・抗不安薬・鎮痛薬
現在は睡眠薬・抗不安薬は依存性が弱く、安全性も高まっています。問題となるのは、本来の治療目的である催眠・抗不安効果から快感・酩酊状態を求めるために服用するようになることです。使用頻度が高くなると精神依存・身体依存となります。ただし、医師の指示通りに規則正しく服用すれば安全です。
◆治療方法
個人的な精神療法だけでは限界があります。ダルク(drug addiction rehabilitation center)、NA(narcotics anonymous)などの自助グループへの参加が有効でしょう。また、家族へも影響を及ぼすので、家族の健全な機能を回復するための自助グループや家族療法などがあります。
本人が自分から受診することよりも、家族や周囲の方が相談に訪れることが多いようです。本人が周囲の説得に応じないことも多いので、その場合は各都道府県の精神保健福祉センターに相談してみましょう。
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