お釈迦さまがインドで一番の馬の調教師に調教の仕方を尋ねると、「いい時は褒めてやる」と答えました。
「それでもダメな時は」と訊くと、「鞭を使う」と言いました。
「それでもダメな時は」と続けて訊くと「ある時はやさしく、ある時は厳しくする」と言いました。
さらに「それでもダメな時は」と訊くと、調教師は「じゃまだから殺してしまう」と答えました。
今度は調教師がお釈迦さまに、弟子の育て方を訊くと、お釈迦さまからは、調教師の言ったこととまったく同じ答えが返ってきました。特に、調教師は日頃、殺生を禁じているお釈迦さまが弟子を殺すなどと言うので、びっくりしてしまいました。
すると、お釈迦さまは、
「私の言葉に耳を貸そうとしないものには声をかけない。つまり、存在を認めない。それは<殺す>と同じことだ」
と静かに説きました。
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声をかけない、存在を認めないということは、「殺人」と同じくらい重い意味を持っているのです。
無視や無関心(ディスカウント)は、心理的な「殺人」だともいわれています。「あいつには何を言ってもムダだ」「どうせ話しかけたところで…」などと、部下や同僚への関心の機会を減らさないでください。 |